お風呂はなしで、温かいタオルで体を拭くだけでいい
仕事から超特急で戻って保育園へお迎え。それから、着替え・おむつ替え、夕食の準備、食事の世話、片付け、お風呂、歯磨き、洗濯、授乳、絵本読み聞かせやスキンシップなど、夕方から夜にかけての家事・育児はやることが盛りだくさんです。早く子どもを寝かしつけたい気持ちがあっても、なかなか現実的には難しいという人は多いでしょう。
「私も娘を生後50日から保育ルームのようなところに預けて、臨床医をしながら子育てしていました。お迎えが19時半という日は、夕食は納豆ごはんだけ。お風呂には入れず温かいタオルで体を拭いて、なんとか20時までにベッドに入れていました。寝かしつけながらそのまま一緒に自分も寝て、残りの家事や仕事はすべて翌朝早起きしてやっていました。小児科医としても研究者としても子どもの脳に睡眠がどれだけ大事かを痛感していましたので、そこだけは必死でした」
そう振り返るのは、小児科医で睡眠に関する著書も多い、文教大学教育学部教授の成田奈緒子さんです。成田さんは「5歳までに早寝早起きのリズムをつける」(理想は20時就寝、朝7時までに起床)を目標にすることを提唱しています。その理由は前回の記事で見た通りです。
「育児というのは本来はシンプルなもの。毎晩同じ時間(理想は20時)に寝かせることを最優先にして、それだけに根性を入れる。あとは、食事、遊び、洗濯、お風呂などのお世話のなかから、死なないように優先順位をつけていくのです。すると、おのずと食事は残りますが、お風呂は入らなくても死にはしません。夕食を納豆ごはんで簡単に済ませたら、朝食や昼食で栄養バランスが取れるように心がければ問題ありません」
子どもの睡眠確保のためにお金を使った
食器洗浄機や洗濯乾燥機などを購入して家事を合理化し、「睡眠時間の確保」以外は、徹底的に手抜きをしたという成田さん。
「保育園時代の後半はどうしても早く帰れない日もありました。そんなときは、ベビーシッターさんに頼んで寝かしつけまでをお願いし、私か夫が帰宅するまで待ってもらっていました。就学前に習い事などにお金をかける人は多いと思いますが、子どもの睡眠のためにお金を使うことは、とても意味のある必要経費だと思っています」
最初は大変でしたが、生後5年間必死に続けたことで、成田さんの娘は自分で早寝早起きができるようになり、朝から自分で作った朝食をもりもり食べ、「自分で考えられる脳」と「折れない心」を持つ子に育っているといいます。
家庭によって事情は様々ですので、実現が難しい場合もありますが、家族で目標にすれば、それに向かって生活の仕方を少しずつ変えていけるかもしれません。では、具体的にどうすればよいのでしょう。