小学校低学年になると、子どもの「できること」が増える半面、「できてほしいこと」への親の期待もついつい過剰になりがち。また通学時間が決まっており、宿題や明日の支度など家庭ですべきことも多いので、ついつい子どもとケンカになって夜までぐったり…ということも多くなるかもしれません。子どもを自立に導くためには、親のどんな心構えや声がけが大切なのでしょうか。「アドラー心理学」「アンガーマネジメント」の専門の先生に話を聞き、それぞれ記事として紹介します。ママのストレス軽減、家庭円満のためにも、役立つこと間違いなしです。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け/病気・ストレス・体】
(1) 小学校低学年は人格形成を決める大切な時期
(2) 子の性格、親子関係…アドラー流お悩み対処法
(3) 小学生ママのための「アンガーマネジメント」
(4) 怒りのコントロールで家族関係が良くなる ←今回はココ

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

 前回の記事では、日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんに、怒りの正体や、子どもへの正しい怒り方、怒りっぽい人の特徴などについて話を聞きました。この記事では、実際に怒りの感情を覚えたとき、どのように対処すればよいのか、という具体的なお話を紹介します。

 怒りといっても、色々な種類があります。子どもに対してイラっとして、怒鳴ってしまうような怒り。例えば子育てを通じて、自分が子ども時代のつらい記憶などを思い出してしまい、悲しかったり悔しかったりするような、怒り。それぞれの怒りにどう向き合っていけばいいのでしょうか。

 イラっとしたとき/頭に血が上ったとき

<span style="font-weight: bold;">安藤俊介</span> アンガーマネジメントコンサルタント。企業、教育現場にある怒りの問題を解決する専門家。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。文部科学省も注目している感情理解教育「アンガーマネジメント」の理論、技術をアメリカから導入する。教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナー、コーチングなどに日々奮闘している。また、アンガーマネジメントのトレーナーの育成にも力をいれている。主な著書に『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「アンガーマネジメント入門」(朝日文庫)、「怒りに負ける人、怒りを生かす人」(朝日新聞出版)など。
安藤俊介 アンガーマネジメントコンサルタント。企業、教育現場にある怒りの問題を解決する専門家。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。文部科学省も注目している感情理解教育「アンガーマネジメント」の理論、技術をアメリカから導入する。教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナー、コーチングなどに日々奮闘している。また、アンガーマネジメントのトレーナーの育成にも力をいれている。主な著書に『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「アンガーマネジメント入門」(朝日文庫)、「怒りに負ける人、怒りを生かす人」(朝日新聞出版)など。

 そんなときは『6秒ルール』を意識してみてください。イラっときたら6秒待つ、ということです。アンガーマネジメントは、料理やテニスを習って覚えるのと一緒で、やり方を教わってあとは練習を繰り返すことで身に付きます。ほとんどの人は、同じことでいつも怒ってるんですよ。でも不思議じゃないですか? 料理で毎回同じ失敗をしていたら、『ちょっと頭を使って、やり方を変えればいいじゃない』という話になりますよね。怒りのコントロールも同じで、一つのスキルなんです。もちろん、スキルなので個人差はありますし、全員がプロのレベルになれるわけではないです。ただ、卵も割ったことがなかった人でも、学習すれば目玉焼きくらい作れるようになるよ、ということなんです」

 「他に具体的な対処策として、『怒りの温度計をつける』というものがあります。例えば天気は、天気予報で最高気温が5度ですって言われたら、どんな服装をすればいいか考えることができます。怒りも必ず比較対象があるので、自分の中でどれくらいの怒りなのかを、客観的に分かるようにすることが重要です

 「僕たちは怒りの原因が『誰か』とか『何か』『出来事』といった『外』にあると思っています。でも本当はそうではなく、全部自分の中にある『~べき』が裏切られたときなんです。だから自分が何に対して怒っているんだろう、と思ったときには、自分の中にどういう『~べき』があるのかを探っていくことが必要なんです」

 「このようなトレーニングを繰り返していくと、一般的には3週間くらいで、効果が出てきます。怒りに対する向き合い方などが『くせ』となって、定着してくるからです」

<次ページからの内容>
・じわじわとくる怒りの正体
・親との関係、虐待など、過去の出来事に対する怒り
・夫と妻で「怒り」のポイントが違うときは?
・子どもについ口を出したくなってしまう
・子どもに対する「~べき」は夫婦ですりあわせるべきか