住宅購入に悩む共働き世代を、ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみさんが紹介する本連載。今回は世帯年収が1350万円あるにもかかわらず、住宅購入になかなか踏み切れない夫婦の相談を取り上げます。さて、二人が二の足を踏む理由は……?

 本日ご来店いただいた上屋さん夫婦(仮名)は、どちらもメーカーで開発・研究に従事する理系の夫婦だ。慎重派の二人はファイナンシャルプランナーへの相談が今回で3回目。家を買いたいと思いつつも1年半以上迷っているという。まずはご夫婦のデータを確認してみよう。

■年収
夫(31歳) 850万円 食品会社開発職
妻(31歳) 500万円 製薬会社研究職。薬剤師の資格を保有。時短勤務中で、今は年収で考えると300万円ほど。退社も検討中

■家庭の状況
結婚5年目。1歳になったばかりの女の子が1人。1年後くらいに2人目も欲しいと考えている

■現在の住居
横浜に社宅住まい(賃料5万円)。一軒家の購入を検討中

■購入プラン
購入予定の物件5500万~6000万円
頭金 1700万~2000万円
夫の社宅近くで検討中。金利・返済期間は相談したい

■資産
現在の貯金額 1900万円
その他 700万円分(株・投資信託・財形貯蓄など)
年間の貯金額 450万円
※財形や持ち株会や保険などで毎月7万円を積み立て中。さらに生活費の残りも貯蓄している

■レッスン・相談の内容
家の購入を考えたが、買っても大丈夫か分からない。FPに相談したこともあるが、まだ確信を持てないのでアドバイスがほしい

共働きの妻が退職を検討中で、住宅購入に迷い

シェアーズカフェ・中嶋(以下、中) 本日の相談は住宅購入についてですね。予算は5500万~6000万円程度、でもまだ具体的な物件は決まっていないと……。こういう状況での相談は案外珍しいです。

 そうなんですか?

 一番いいのはお二人のように予算を決める段階で来ていただくことなんですけどね。ただ、やはり皆さんある程度、話が進んでからでないと相談をしにくいのはあると思います。物件を何件か見てから来られたり、一番多いのはこの物件を買いたいけど大丈夫ですか?という相談です。もちろんそれでも歓迎しますけど、明日が物件の契約とか、すでに契約を終えて明日がローンの実行とか、本当に直前にいらっしゃる人もいます。

 僕らはもっと前の段階というか、家を買う以前の状況でまだ決めきれていないことがあって、それで迷っています。

 事前にヒアリングメールでもうかがいましたけど、奥様の退職についてですか?

 そうです。そこで迷っている状況で……。

 今は製薬会社の研究職として働かれているんですね。

 今年の夏に時短勤務で復帰したばかりです。ただ通勤が大変で。片道1.5時間、往復で3時間もかかっています。