今の共働き世代は、どんな考え方やライフプランを抱いて、家を買おうとしているのでしょうか? ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみ氏が、相談に訪れる人たちの等身大の姿をリポートします。

 先日、私が運営するファイナンシャルプランナーの事務所「シェアーズカフェ」に、住宅購入の相談で共働きの前田さんご夫妻(仮名)が来店された。前田さんご夫妻は、東京・神楽坂に住宅購入を検討しているという。

 事前のヒアリング情報では、二人の世帯年収を合わせると1000万円を大きく超えている。物件は安くないが手の届かない値段ではない。しかし収入に対して、現在の貯金額はやけに少ない。こういった状況では何かリスクがあるものだ。ご夫妻の状況は以下の通りだ。

■年収:夫婦合わせて1370万円
夫(32歳):950万円 4年前に友人と起業した会社で共同経営者として働く
妻(34歳):420万円 大手アパレルメーカーに勤務。新規ブランドの立ち上げから出店交渉まで行う

■家庭の状況
結婚5年目、子ども(4歳)

■資産
現在の貯金額 600万円

■購入プラン
神楽坂で購入したい築4年の中古マンションが見つかった。価格は8000万円だが、買っても大丈夫か相談をしたい

イクメンになりたくて商社を辞めて起業した夫

シェアーズカフェ・中嶋(以下、中)「今回神楽坂の物件を購入予定とのことですが、今もその近辺にお住まいですよね」

「賃貸で非常に良い物件なので、今はこれで満足です。ただ、築30年のマンションに20万円も家賃を払ってるんです。結婚する前から住んでいますけど、これなら買った方が良いとずっと思っていたんです」

「私も今の家は特に不満はありませんけど、夫と同じです。これだと家賃がもったいないなって」

 夫の現在の働き方は、子どもが生まれた年に、友人と一緒に小さな会社を起こしたという。

「前は商社で働いてました。子どもが生まれる時に、無理だと思いつつ育児休暇を取得しようと思ったらやっぱり無理で。それまで滅茶苦茶な働き方をしていたんです。収入が高かったので特に不満もなかったですけど、さすがに結婚してからはまずいなと。このままじゃ気がついたら子どもが大きくなっていた、という状況になりかねないと思ったらこれでいいのかなと考えてしまって